つみたて投資枠は「金融庁が絞り込んだ商品しか買えない」のが特徴でした。その絞り込みが2027年1月から緩みます。
選べるものが増えるのは、一見よさそうに聞こえます。ただつみたて投資枠が信頼されてきた理由は、選択肢が少なかったことでもあります。何がどう変わるのかを正確に押さえたうえで、自分の積立をどうするか考えてください。
- 2027年1月以降、つみたて投資枠の対象商品が広がります
- 指定指数に「読売株価指数(読売333)」と「JPXプライム150指数」が追加されます
- 株式の割合要件が「株式が50%超」→「株式と公社債を合わせて50%超」に緩和されます
- この結果、債券中心の投信やバランス型の投信がつみたて投資枠で買えるようになります
- いま積み立てているファンドに影響はありません。選択肢が増えるだけです
- 増えた分がすべて良い商品とは限りません。信託報酬を見る目は、これまで以上に必要になります
変更点①:連動できる指数が2つ増える
つみたて投資枠のインデックスファンドは、金融庁が指定した指数に連動するものだけが対象です。ここに2つ加わります。
| 追加される指数 | 内容 |
|---|---|
| 読売株価指数(読売333) | 333銘柄で構成される日本株の株価指数 |
| JPXプライム150指数 | プライム市場から資本収益性・市場評価の観点で選ばれた150銘柄の指数 |
どちらも日本株の指数です。「これらの株価指数に連動する投資信託をつみたて投資枠の対象商品として組成することが可能となります」と書かれているとおり、これから新しいファンドが作られる段階です。2027年1月にいきなり買えるわけではなく、各運用会社が設定してからになります。
変更点②:株式の割合要件が緩む
こちらのほうが影響は大きいです。
| 現行 | 2027年1月以降 | |
|---|---|---|
| 要件 | ポートフォリオに占める株式の割合が50%超 | 株式と公社債を合わせて50%超 |
| 結果 | 株式中心の投信のみ | 債券中心・バランス型も対象に |
いまのつみたて投資枠に債券ファンドやバランス型がほとんど無かったのは、この「株式50%超」の要件があったからです。ここが外れることで、商品ラインナップの性格が変わります。
で、自分は何か変えるべきなのか
結論から言うと、いまオルカンやS&P500を積み立てている人は、何もしなくて構いません。既存のファンドが対象から外れるわけではないからです。
検討する価値があるのは、次のような人です。
- 値動きが怖くて積立額を上げられない人。債券を混ぜたバランス型なら、下落幅が小さくなるぶん続けやすくなる可能性があります
- 使う時期が10年以内に決まっている人。教育費や住宅資金など、期限があるお金は株式100%と相性が悪い
- すでに株式100%で、資産全体の振れ幅が大きくなりすぎた人
逆に注意してほしいのは、「新しい」「バランス型」というだけで選ばないことです。バランス型は中身が複雑なぶん、信託報酬が株式インデックスより高くなりがちです。年0.1%と年0.5%の差は、20年積み立てれば無視できない金額になります。選択肢が増えるということは、選び間違える余地も増えるということです。
つみたて投資枠の「厳しさ」は、それ自体が価値でした
つみたて投資枠の対象商品は、販売手数料ゼロ・信託報酬が一定以下・毎月分配型を除くといった条件で絞られてきました。「ここに入っているものなら大きく外さない」という安心感は、この厳しさが作ってきたものです。
今回の緩和で、その前提が少しだけ変わります。これからは「つみたて投資枠に入っているから安心」ではなく、信託報酬と中身を自分で見る必要が出てきます。見方はインデックス投資とは?初心者が最初に選ぶべき投資信託の考え方にまとめました。
よくある質問
Q. いま積み立てているファンドが対象外になることはありますか?
今回の改正は対象を広げる方向の変更です。既存のファンドが外れるという記載はありません。
Q. 年間の投資枠は変わりますか?
つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円・合計360万円、生涯1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)という枠自体に変更はありません。
Q. 債券ファンドをつみたて投資枠で買う意味はありますか?
「値動きを抑えて積立を続けやすくする」という目的なら意味があります。ただし非課税枠は本来、期待リターンが高い資産に使うほうが有利という考え方もあります。債券部分は課税口座に置き、NISAの枠は株式に使う、という整理をする人も多いです。どちらが正しいというより、自分が続けられるかどうかで決めてください。
まとめ
2027年1月から、つみたて投資枠は指数が2つ増え、株式50%超の縛りが緩みます。債券中心やバランス型が入ってくることになります。
やることは変わりません。信託報酬を見て、中身を理解できるものを選び、長く持つ。選択肢が増えても、判断基準は同じです。
同じ税制改正ではこどもNISA(2027年1月開始)も決まっています。
参照した情報(2026年9月7日に確認)
・金融庁「令和8年度税制改正における措置内容について」
・金融庁「令和8(2026)年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」
・金融庁「NISAを知る/NISA特設ウェブサイト」
本記事は税制改正大綱の内容にもとづくもので、今後の法令や各運用会社の商品設定によって実際の選択肢は変わります。情報提供を目的としたものであり、特定商品の勧誘ではありません。

