「NISAを始めたほうがいい」とは聞くけれど、つみたて投資枠と成長投資枠の違いがよく分からない——という状態で止まっている人は多いと思います。私も社会人1年目のとき、口座だけ作って半年放置しました。
この記事では、新NISAの仕組みを「税金」「枠」「期間」の3点だけに絞って整理します。細かい例外は後回しにして、まず全体像をつかむことを優先します。
- NISAは利益にかかる約20%の税金がゼロになる制度。それ以上でも以下でもない
- 年間の投資枠はつみたて120万円+成長240万円=最大360万円
- 生涯で持てる上限は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- 非課税で持てる期間は無期限。いつまでに売る、という期限はない
- 売却すると、買ったときの値段(簿価)分の枠が翌年に戻る
- 迷ったらつみたて投資枠でインデックスファンドを積む。それで制度の8割は使える
そもそもNISAは何がおトクなのか
通常、投資でもうけが出ると、その利益に対して20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)の税金がかかります。100万円の利益なら、手元に残るのは約79.7万円です。
NISA口座で買った商品は、この税金がかかりません。100万円の利益なら100万円がそのまま残ります。制度の中身はこれだけです。難しく考える必要はありません。
| 課税口座(特定・一般) | NISA口座 | |
|---|---|---|
| 利益100万円のとき | 約20.3万円が税金 手取り 約79.7万円 | 税金ゼロ 手取り 100万円 |
| 損したとき | 他の利益と相殺できる(損益通算) | 相殺できない |
注意点として、NISA口座の損失は、他の口座の利益と相殺(損益通算)できません。翌年以降への繰越控除も使えません。「非課税」は利益が出たときだけ効く仕組み、と覚えておいてください。
2つの枠の違い:つみたて投資枠と成長投資枠
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 生涯の上限 | 2枠あわせて1,800万円 | うち成長投資枠は1,200万円まで |
| 買えるもの | 金融庁の基準を満たした 長期・積立・分散向けの投資信託/ETF | 上場株式・投資信託・ETF・REIT など |
| 買い方 | 積立のみ | 積立でもスポット購入でもOK |
| 除外されるもの | — | 整理・監理銘柄、信託期間20年未満、 毎月分配型、高レバレッジ型など |
大きな違いは「買えるものの範囲」です。つみたて投資枠は、金融庁が「長期の積立に向く」と判断した商品だけに絞られています。逆に言えば、選択肢が絞られているぶん、初心者が大きく外しにくい枠だということです。
成長投資枠は個別株やREITも買えますが、投資信託を買うこともできます。「成長投資枠=個別株用」ではありません。年120万円では足りない人が、同じインデックスファンドを成長投資枠でも買う、という使い方が実際にはいちばん多いはずです。
どちらから使うべきか
- 月10万円までしか積めない → つみたて投資枠だけで足ります(年120万円=月10万円)
- 月10万円を超えて積める → 超えた分を成長投資枠へ。同じファンドでOK
- 個別株を買いたい → 成長投資枠を使う。ただし1,200万円の内枠がある点に注意
生涯1,800万円の枠は「買った値段」でカウントする
ここが新NISAでいちばん誤解されやすいところです。1,800万円は「時価」ではなく「簿価(買ったときの金額)」で数えます。
たとえば1,800万円ぶん買ったあと、値上がりして時価3,000万円になったとします。このとき枠を超えているわけではありません。非課税で持ち続けられますし、増えた1,200万円分の利益もまるごと非課税です。
売れば枠は戻る(ただし翌年)
旧つみたてNISAと決定的に違うのがこの点です。NISAで買った商品を売ると、その商品を買ったときの金額(簿価)ぶんの枠が、翌年になると復活します。
- 100万円で買った投資信託が150万円に値上がり → 売却
- 復活するのは100万円ぶん(150万円ではない)
- 復活するのは翌年の1月(売ったその年には使えない)
- ただし年間枠(360万円)の上限は別途かかる
「枠が復活するなら短期売買してもいい」とはなりません。復活は翌年ですし、非課税の効果は「長く持って複利で増やす」ことで最大化されます。売買を繰り返すほど、制度の設計から外れていきます。
口座は1人1つ。金融機関は年単位で変えられる
NISA口座はすべての金融機関を通じて1人1口座です。A証券とB銀行で同時に持つことはできません。ただし年単位で金融機関を変更することは可能です(その年にすでに買付をしていると、翌年からの変更になります)。
変更手続きは手間なので、最初にどこで開くかはそれなりに考えておく価値があります。比較するポイントは主に3つです。
- 取扱本数:買いたいファンドがあるか(人気ファンドはどこでも買えますが、差は出ます)
- クレカ積立の還元率:積立をクレジットカード払いにするとポイントが付きます。ここが実質的なリターン差になります
- アプリの使いやすさ:長く付き合うので、意外と効きます
2027年から「こどもNISA」が始まります
2026年度の税制改正で、18歳未満を対象にしたつみたて投資枠の新設が決まりました。2027年1月以降の開始予定です。
- 対象:0〜17歳
- 年間投資枠:60万円/非課税保有限度額:600万円
- 払い出し:原則として12歳以降、子ども本人の同意書などの条件つきで可能
- 18歳になると、通常のNISAへ自動的に移行
2023年に廃止されたジュニアNISAの、引き出し制限を緩めた後継版という位置づけです。制度の詳細は今後の政省令で固まるため、開始が近づいたら改めて確認してください。
よくある質問
Q. いくらから始められますか?
多くのネット証券で月100円から積立できます。金額の大小より、「口座を開いて、実際に1回買ってみる」ほうが先に進みます。
Q. つみたて投資枠と成長投資枠、両方使えますか?
使えます。旧制度では「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらか一方でしたが、新NISAでは併用可能です。
Q. 旧つみたてNISAで買った分はどうなりますか?
新NISAとは別枠でそのまま非課税運用が続きます(旧つみたてNISAは購入した年から20年間)。新NISAの1,800万円を圧迫することはありません。
Q. iDeCoとどちらを優先すべき?
ひとことで言えば、「60歳より前に使うかもしれないお金はNISA、老後まで動かさないお金はiDeCo」です。iDeCoは掛金が全額所得控除になる代わりに、原則60歳まで引き出せません。2026年12月にiDeCoの上限が大きく上がるので、あわせて考える価値があります。
あわせて読みたい:【2026年12月改正】iDeCoの掛金上限が月2.3万→6.2万円へ。会社員がいま確認すべき3つのこと
まとめ
新NISAで覚えるべきことは、結局これだけです。
- 利益に税金がかからない(年360万円/生涯1,800万円まで)
- 期限はない。売れば簿価ぶんの枠が翌年戻る
- 迷ったら、つみたて投資枠で低コストのインデックスファンドを積む
次に読むなら、実際に何を買うかの話です。
次に読む:インデックス投資とは?初心者が最初に選ぶべき投資信託の考え方
参照した情報(2026年9月時点)
・金融庁「NISAを知る/NISA特設ウェブサイト」
・国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税」
・2026年度税制改正関連資料
制度内容は変更される場合があります。実際のお手続きの際は各金融機関・公的機関の最新情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としたもので、特定商品の勧誘ではありません。

