証券口座を開いたあと、ほとんどの人が次に固まります。商品が数千本あって、どれを買えばいいのか分からないからです。私も最初は検索して出てきた名前をメモしただけで、1か月くらい何も買えませんでした。
結論から言うと、最初に見るべき数字は3つだけです。この記事では、インデックス投資の仕組みと、その3つの数字の見方を順番に説明します。銘柄名を覚える必要はありません。
- インデックス投資とは、指数(=市場の平均)にそのまま連動させる投資のこと
- 見る数字は①信託報酬 ②純資産総額 ③連動する指数の3つ
- 信託報酬は年0.1%を切るものが基準。1%台は理由がない限り選ばない
- 「プロが選ぶファンド」が指数に勝ち続けるのは難しい。10年では9割以上が負けているカテゴリもある
- 毎月分配型・レバレッジ型・テーマ型は、最初の1本にしない
- ただし元本は保証されません。下がる年は普通にあります
インデックス投資とは「市場の平均を、そのまま買う」こと
「日経平均が上がった」「S&P500が最高値を更新した」というニュースを聞いたことがあると思います。この日経平均やS&P500のことを「指数(インデックス)」と呼びます。たくさんの会社の株価をまとめて1つの数字にしたもの、と考えてください。
インデックス投資は、この指数と同じ動きになるように作られた投資信託を買う方法です。S&P500に連動するファンドを買えば、アメリカの主要500社にまとめて投資したのとほぼ同じ状態になります。1社ずつ選ぶ必要はありません。
もう一方の選択肢「アクティブファンド」との違い
投資信託には大きく2種類あります。
| インデックスファンド | アクティブファンド | |
|---|---|---|
| 目指すもの | 指数と同じ成績 | 指数を上回る成績 |
| 銘柄の選び方 | 指数の中身をそのまま持つ | 運用のプロが選ぶ |
| 信託報酬の目安 | 年0.1%前後 | 年1〜2%前後 |
| 成績のばらつき | 指数とほぼ同じ | 大きく勝つことも負けることもある |
字面だけ見ると「プロが選んでくれるアクティブのほうが良さそう」に見えます。ここが最初の分かれ道なので、データで確認します。
プロでも、指数に勝ち続けるのは難しい
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが「SPIVA」という定点調査を出しています。アクティブファンドのうち、何%がベンチマーク(指数)を下回ったかを毎年集計しているものです。2025年12月末時点の日本版を見ると、こうなっています。
| ファンドの種類 | 1年 | 5年 | 10年 |
|---|---|---|---|
| 米国株式ファンド | 89.1% | 99.1% | 97.7% |
| グローバル株式ファンド | 86.5% | 97.7% | 100% |
| 新興国株式ファンド | 87.9% | 89.6% | 100% |
| 日本の大型株ファンド | 49.2% | 75.8% | 83.4% |
読み方はシンプルです。米国株に投資するアクティブファンドのうち、10年間で指数に勝てたのは2.3%しかなかった。グローバル株式にいたっては、10年勝ち続けたファンドがゼロです。
理由のひとつは単純にコストです。年1.5%の信託報酬を払うファンドは、毎年1.5%多く稼がないと指数に並べません。10年、20年と続けば、この差は無視できない大きさになります。
「アクティブファンドがダメ」という話ではありません。実際に勝ち続けているファンドも存在します。ただしそれを事前に見分ける方法がないのが問題です。過去の成績が良いファンドが、次の10年も良いとは限りません。だから最初の1本は指数に連動するものにする、という判断になります。
選ぶときに見る3つの数字
① 信託報酬 ── 唯一、確実にコントロールできるもの
信託報酬は、持っている間ずっと、毎日少しずつ引かれ続ける手数料です。年率で表示され、資産から自動的に差し引かれます。
ここが重要なのですが、将来のリターンは誰にも分かりませんが、コストは買う前に確定しています。投資で唯一、自分で選べる確実な要素です。だから最初に見ます。
目安は年0.1%を切っていること。低コスト競争が進んだ結果、全世界株式に投資する主要なファンドでは年0.05%台まで下がっています(2026年9月時点)。同じ指数に連動するなら、中身はほぼ同じです。同じものを高く買う理由はありません。
もうひとつ、「実質コスト」という言葉も覚えておいてください。信託報酬のほかに、売買にかかる費用などが実際には乗ります。運用報告書に載っていて、信託報酬より少し高くなるのが普通です。数本まで絞ったら、ここまで見ると精度が上がります。
② 純資産総額 ── 途中で終わらないかどうか
そのファンドに集まっているお金の総額です。これが小さいまま増えないと、運用会社が採算に合わないと判断して、途中でファンドをやめてしまうことがあります。「繰上償還」といいます。
強制的に現金化されるため、値下がりしているタイミングでも売られてしまい、長期でじっくり増やすという前提が崩れます。目安として、数百億円以上あり、右肩上がりで増えているものを選べば、この心配はほぼ不要です。
③ 連動する指数 ── 何に投資しているのか
ここだけは、コストのように「安いほうが正解」とは言えません。どこまで広く分散するかという、好みと考え方の問題だからです。代表的なものを並べます。
| 指数 | 投資先 | 特徴 |
|---|---|---|
| 全世界株式 (MSCI ACWI など) | 先進国+新興国 約50か国 | いちばん広い。どの国が伸びても取りこぼさない。1本で完結する |
| S&P500 | 米国の主要500社 | 米国1国に集中。過去の成績は良いが、米国が停滞する期間はそのまま影響を受ける |
| 先進国株式 (MSCI コクサイ) | 日本を除く先進国 | 新興国を外したい人向け。日本株は別で持つ前提 |
| NASDAQ100 | 米国のハイテク中心100社 | 値動きが大きい。上がるときも下がるときも幅が出る。メインには向かない |
迷ったら全世界株式です。「どの国が伸びるか分からない」という前提に、いちばん素直に対応した形だからです。全世界株式には米国も6割前後含まれているので、「オルカンかS&P500か」は、米国の比率を6割にするか10割にするかの選択だと考えると分かりやすくなります。
この2択は迷う人が多いので、別記事で数字を出して整理しています。
くわしくは:オルカンとS&P500、どっちを買う?決め方を数字で整理する
最初の1本に選ばないほうがいいもの
逆に、避けたほうがいいものもはっきりしています。
- 毎月分配型:毎月お金がもらえて得に見えますが、その分だけ資産が減ります。元本を取り崩して払っているケースもあり、複利で増やすという仕組みと真逆です
- レバレッジ型(2倍・3倍):値動きを増幅させる商品です。下落局面での目減りが大きく、横ばいを繰り返すだけでも資産が削られる性質があります
- テーマ型(AI・宇宙・脱炭素など):話題になってから設定されることが多く、いちばん高いところで買うことになりがちです。信託報酬も高めです
- 銀行の窓口で勧められた商品:販売手数料や信託報酬が高いものが混ざります。同じ指数のファンドがネット証券にないか、必ず比べてください
新NISAのつみたて投資枠は、こうした商品が金融庁の基準であらかじめ除外されています。「つみたて投資枠で買えるものから選ぶ」だけで、大きく外す可能性はかなり減ります。
実際の始め方(4ステップ)
- ネット証券でNISA口座を開く(口座開設・維持は無料。NISA口座は税務署の確認が入るため、使えるまで数日〜2週間かかります)
- つみたて投資枠で、全世界株式か S&P500 のインデックスファンドを選ぶ(信託報酬0.1%未満・純資産総額が数百億円以上)
- 毎月の積立額を設定する(多くの証券会社で月100円から。クレカ払いにするとポイントが付きます)
- あとは触らない
4つめが本題です。インデックス投資でいちばん難しいのは、選ぶことではなく、続けることです。
下がったときにどうするか、を先に決めておく
株式市場は、数年に一度は大きく下がります。20%、30%と下がる年は珍しくありません。そのとき「まだ下がるかもしれない」と思って積立をやめてしまうのが、いちばんもったいない行動です。安く買えるはずの期間を、自分で飛ばすことになるからです。
対策は2つだけです。
- 生活防衛資金を現金で確保しておく(生活費の6か月分が目安)。売らずに済む状態を先に作る
- 毎日は見ない。積立の設定さえしてあれば、見なくても買い続けてくれます
私は運用実績を毎月公開していますが、減った月もそのまま載せています。右肩上がりではないという実物を見ておくほうが、いざ下がったときに動揺しにくいと思うからです。
よくある質問
Q. 何本くらい買えばいいですか?
全世界株式なら1本で足ります。すでに数十か国・数千社に分散されているためです。何本も持つと、同じ銘柄を重複して持つだけになり、管理が面倒になるわりに分散は増えません。
Q. 一括で買うのと積立、どちらが有利ですか?
理論上は、早く多く投資したほうが期待値は高くなります。ただし買った直後に大きく下がったときの精神的な負担が違います。まとまった資金があっても、慣れるまでは分けて入れるほうが続けやすい、という判断は十分に合理的です。
Q. いつ売ればいいですか?
使うときです。「儲かったから売る」ではなく、住宅資金や老後資金など、そのお金を使う時期から逆算して決めます。取り崩す順番によって手取りが変わるので、出口の設計は別記事にまとめています。
くわしくは:資産の取り崩し順序で手取りは変わる|NISA・iDeCo・課税口座の出口戦略
Q. 元本割れすることはありますか?
あります。インデックス投資は「必ず増える方法」ではなく、「市場の平均をコストを抑えて受け取る方法」です。買った金額を下回る期間は普通にあります。増える前提で生活設計をしないでください。
まとめ
- 指数に連動するファンドを選ぶ(銘柄選びをしない)
- 信託報酬0.1%未満・純資産総額が数百億円以上のものに絞る
- 迷ったら全世界株式。つみたて投資枠の中から選べば大きく外さない
- 生活防衛資金を確保して、あとは見ないで続ける
商品の考え方が決まったら、次はどこで買うかです。同じファンドでも、証券会社によってクレカ積立の還元率が変わります。
参照した情報(2026年9月時点)
・S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA日本スコアカード」(2025年末版)
・金融庁「NISA特設ウェブサイト」/つみたて投資枠対象商品
・各運用会社の交付目論見書・運用報告書
信託報酬や商品内容は変更される場合があります。購入の際は必ず目論見書をご確認ください。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

