NISAとiDeCo、どっちを先に使うべきか|判断は3つの質問で決まる

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「NISAとiDeCo、両方やったほうがいいのは分かるけど、そんな余裕はない」。これがいちばん多い状況だと思います。私も社会人1年目はそうでした。

結論を先に書きます。多くの人はNISAが先です。理由はリターンの大小ではなく、引き出せるかどうかです。

  • 迷ったらNISAが先。iDeCoは原則60歳まで引き出せないから
  • iDeCo最大の武器は掛金が全額所得控除。課税所得が大きいほど効く
  • 逆に課税所得がない人には所得控除は効きません。ここを書いていない記事が多い
  • 判断は「生活防衛資金」「課税所得」「60歳まで使わないか」の3つで決まります
  • 2026年12月にiDeCoの枠は広がりますが、順番の考え方は変わりません
目次

そもそも性格が違う制度です

「どちらが得か」で比べると混乱します。NISAは万能の非課税口座、iDeCoは老後専用の年金制度で、そもそも役割が違うからです。

NISAiDeCo
運用益非課税非課税
掛金の所得控除なし全額が対象
引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
口座管理手数料かからないかかる(金融機関で異なる)
受け取るとき課税なし課税対象(控除あり)
年間の枠最大360万円職業などで上限が違う
生涯の枠1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)年数×上限
使えるのは18歳以上原則20歳以上65歳未満(2026年12月から70歳未満へ拡大)
金融庁「NISAを知る」およびiDeCo公式サイトより作成

表を縦に見ると分かりますが、iDeCoが勝っているのは「所得控除」の1行だけです。そのかわり負けている行は「引き出し」「手数料」「受け取り時の課税」の3つ。この1対3をどう見るかが判断のすべてです。

iDeCoの所得控除は、実際いくらの価値があるのか

ここは数字で見たほうが早いです。iDeCoの掛金は全額が所得控除になるので、ざっくり「掛金 × (所得税率 + 住民税10%)」だけ税金が減ります。

月2万円(年24万円)を拠出した場合で計算します。

課税所得所得税率合計年24万円拠出したときの節税額
195万円以下5%15%約36,000円
195万〜330万円10%20%約48,000円
330万〜695万円20%30%約72,000円
695万〜900万円23%33%約79,200円
住民税の所得割10%として計算。復興特別所得税は含めていません(含めると所得税分が2.1%だけ増えます)。なお2027年1月1日以後に生ずる所得からは、復興特別所得税が1.1%に下がり、別途「防衛特別所得税」が課されます

「課税所得」は年収ではありません。年収から給与所得控除・社会保険料・基礎控除などを引いた後の金額です。年収500万円の会社員なら課税所得はおおむね200万円前後になることが多く、上の表では20%の行に入ります。源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」を給与所得から引いた額が目安です。

年24万円の拠出で4〜7万円戻ってくるのは、たしかに強力です。相場が上がろうが下がろうが確定でもらえるリターンなので、運用利回りに換算すると馬鹿になりません。

それでもNISAを先に勧める3つの理由

理由1:60歳まで引き出せない

iDeCo公式サイトの表現をそのまま引きます。

原則として60歳にならないと個人別管理資産(拠出した掛金とその運用益)を引き出すことができません。

「原則として」の例外は、一定以上の障害状態になった場合、死亡した場合、あとはごく限られた条件を満たしたときの脱退一時金だけです。脱退一時金には「国民年金保険料の免除または納付猶予を受けている」「通算拠出期間が3年以下、または資産が25万円以下」といった条件が重なるので、普通に積み立ててきた人は該当しません。転職、失業、結婚、出産、住宅購入、親の介護——どれも引き出す理由になりません。

20代・30代にとって、これから30年間ひとつも資金需要が起きないと言い切るのはかなり強い賭けです。NISAなら必要になったときに売れます。

理由2:課税所得がない人には効かない

iDeCo公式サイトの注意書きにこうあります。

課税所得がない方は、掛金の所得控除は受けられません。/所得控除は、本人の所得からのみ控除されます。配偶者の所得からは控除されません。

これは見落とされがちです。扶養の範囲で働いている人や、専業主婦(主夫)の人がiDeCoに入っても、所得控除のメリットはゼロです。配偶者の所得から引くこともできません。

この場合、残るメリットは「運用益が非課税」だけ。それはNISAでも同じで、しかもNISAは手数料がかからず、いつでも引き出せます。この条件でiDeCoを選ぶ理由はほぼありません。

理由3:受け取るときに課税される

iDeCoは「非課税」と言われますが、正確には運用益が非課税なだけで、受け取り時は課税対象です。一時金なら退職所得、年金形式なら雑所得として扱われます。

退職所得控除や公的年金等控除があるので多くの場合は税負担が小さく収まりますが、会社の退職金と受け取り時期が重なると控除を使い切ってしまい、思ったより税金がかかることがあります。これは受け取る直前ではなく、入る前に知っておくべき話です。

NISAにはこの論点自体がありません。売った時点で、まるごと自分のお金です。

3つの質問で決める

順番に答えてみてください。

Q1. 生活防衛資金は用意できていますか?

目安は会社員で生活費の3〜6か月分、自営業・フリーランスで1年分です。ここが薄いなら、まずこちらを厚くしてください。現金が無いまま投資を始めると、いちばん値下がりしているタイミングで売る羽目になります。

ただし貯まりきるまで投資をゼロにする必要はありません。現金を積み増しながら、少額で並行して積み立てるのが現実的です。考え方は生活防衛資金はいくら必要かにまとめました。

Q2. 所得税・住民税を払っていますか?

NOなら、NISAだけでいいです。iDeCoの主要メリットが効かないうえ、手数料の分だけ不利になります。

Q3. そのお金を60歳まで一度も使わないと言い切れますか?

言い切れないなら、まずNISAを埋めてください。言い切れるなら、iDeCoの併用を検討する価値があります。

3問すべてYESなら、iDeCoを併用する条件は整っています。そのうえで課税所得が330万円を超えている人は、節税額が年7万円超になるので優先度がさらに上がります。逆に課税所得が小さいうちは、急いで枠を埋めにいく理由は強くありません。

併用するときの入れる順番

両方やる余裕がある場合の、私なりの順番です。

  1. 生活防衛資金(会社員なら生活費の3〜6か月分。貯めながら4以降を少額で並行してよい)
  2. 会社にマッチング拠出があるなら、まずそちらを検討。口座管理手数料を会社が負担する制度もあるため。ただしマッチング拠出を使うとiDeCoには加入できません。4と両取りはできず、どちらか一方です
  3. NISAのつみたて投資枠(無理のない額で)
  4. iDeCo(課税所得があるなら。老後資金と割り切れる額だけ)
  5. NISAの残り枠

2番目のマッチング拠出は見落とされがちです。詳しくは企業型DCとiDeCoは併用できる?2026年12月からの計算式に書きました。

2026年12月の改正で順番は変わるか

2026年12月1日から、iDeCoの拠出限度額は会社員・公務員は企業年金と共通で月6.2万円、自営業・フリーランスは国民年金基金と共通で月7.5万円に引き上げられます。同時に60歳以上70歳未満でも拠出できる道ができます。

枠が広がるのは朗報ですが、「引き出せない」という性格は1ミリも変わりません。枠が大きくなるほど、入れすぎたときのダメージも大きくなります。順番の考え方は改正の前後で同じです。

改正の中身は【2026年12月改正】iDeCoの掛金上限が月2.3万→6.2万円へにまとめています。

よくある質問

Q. 月1万円しか出せません。分けるべきですか?

分けないほうがいいと思います。iDeCoは口座管理手数料が定額でかかるので、掛金が小さいほど手数料の比率が重くなります。月1万円ならNISAに集中させて、余裕が出てからiDeCoを足すほうが素直です。

Q. iDeCoは途中でやめられますか?

掛金を止めて「運用指図者」になることはできます。ただし止めてもお金は引き出せず、口座を維持する手数料はかかり続けます。「やめる=解約して現金化」ではない点に注意してください。

Q. 中身は同じ商品でいいですか?

基本的には同じ考え方で構いません。低コストのインデックスファンドが軸になります。ただしiDeCoは金融機関ごとに選べる商品が決まっているので、金融機関を選ぶ段階で中身が決まってしまいます。商品ラインナップを見てから口座を決めてください。

Q. NISAを先に埋めきってからiDeCoですか?

そこまで待つ必要はありません。NISAの生涯枠1,800万円を埋めきるのは多くの人にとって何十年もかかる話です。課税所得がしっかりあるなら、NISAと並行してiDeCoも始めるほうが節税分だけ有利です。「NISAを完走してから」ではなく「NISAを優先しつつ併用」が現実的です。

まとめ

  • 迷ったらNISAが先。引き出せる自由の価値は大きい
  • iDeCoの武器は所得控除。課税所得330万円超なら年24万円の拠出で約7.2万円
  • 課税所得がない人にiDeCoのメリットはほぼ無い
  • 判断は生活防衛資金 → 課税所得 → 60歳まで使わないかの順で
  • 2026年12月の改正で枠は広がるが、順番の考え方は同じ

NISAの仕組みそのものは新NISAの仕組みをやさしく解説、何を買うかはインデックス投資とはにまとめています。

参照した情報(2026年9月12日に確認)
・金融庁「NISAを知る」
・iDeCo公式サイト「iDeCoの特徴」
・iDeCo公式サイト「よくあるご質問」(脱退一時金の要件)
・国税庁 No.2260「所得税の税率」
・厚生労働省「2025年の制度改正」
節税額は概算です。実際の税額は各種控除や自治体により異なります。制度内容は変更される場合があります。本記事は情報提供を目的としたもので、特定商品の勧誘ではありません。

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この記事を書いた人

RIMAWARIのアバター RIMAWARI 投資歴7年 / 35歳FIREを目指す会社員

「リマワリ」を書いているRIMAWARIです。東京でひとり暮らしをしている20代の会社員(映像・放送機器の法人営業)で、投資歴は7年。35歳でのリタイア(FIRE)を目標に、自分のお金で実際にやっている資産形成の記録と、その過程で調べたことをまとめています。資格は持っていないので、制度の説明は必ず一次情報にあたり、数字には「いつ時点か」を書き、デメリットを先に書くことにしています。

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