新NISAで一番よく聞かれるのが「売ったら枠は戻るのか」です。答えは戻ります。ただし翌年から、しかも買った値段の分だけです。
この「翌年」と「買った値段」の2つを取り違えると、計画がまるごとずれます。ほかにも間違えやすい点があるので、まとめて整理します。
- 売却で復活するのは翌年。売ったその年には使えません
- 復活する金額は簿価=買ったときの金額。値上がり分は戻りません
- 枠が復活しても年間の上限(つみたて120万+成長240万=360万円)は超えられません
- NISAの損失は、他の口座の利益と相殺できません。繰越控除もできません
- 口座は1人1口座。つみたて投資枠と成長投資枠は、その1口座の中にある2つの枠です
勘違い①「売ったらすぐ枠が戻る」→ 戻るのは翌年
金融庁の説明は「商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります」です。
つまり3月に売って、その年の4月にまた買う、という回転はできません。短期で売買を繰り返す使い方は制度として想定されていない、と考えてください。
勘違い②「売った金額の分だけ戻る」→ 買った値段の分だけ
ここが一番ずれやすいところです。枠は簿価(買ったときの金額)で管理されています。
| 金額 | |
|---|---|
| 買ったとき | 100万円 |
| 売ったとき | 150万円 |
| 翌年に復活する枠 | 100万円 |
50万円の値上がり益はまるごと非課税で受け取れますが、枠としては戻ってきません。逆に言うと、値下がりして80万円で売った場合でも、戻る枠は100万円です。
勘違い③「枠が復活すれば、年360万円を超えて買える」→ 超えられません
生涯の枠(1,800万円)と、年間の枠(360万円)は別々に効きます。前年に500万円分売って枠が復活しても、その年に買えるのは360万円までです。
1,800万円を埋めるのに最短で5年かかるのは、この年間上限があるからです。
勘違い④「NISAで損したら、他の利益と相殺できる」→ できません
これは損をしたときに効いてくる、いちばん痛い制限です。金融庁の資料にはこう書かれています。「NISA口座から得られた損益を、他の口座(一般口座や特定口座)と損益通算することは不可」「損失を翌年以降に繰越することも不可」。
特定口座で50万円の利益、NISAで50万円の損失が出た場合、相殺されません。特定口座の50万円にはそのまま20.315%の税金がかかります。「NISAは損しても税金で取り返せる」という考え方は成立しません。
NISAは利益が出たときだけ得をする制度です。だからこそ、長期で持てるものを入れる場所として使うのが理にかなっています。インデックス投資とは?初心者が最初に選ぶべき投資信託の考え方で、その考え方をまとめています。
勘違い⑤「つみたて投資枠と成長投資枠は別の口座」→ 同じ口座の中の枠です
口座は1人1口座で、その中に2つの枠があります。両方を同時に使えますが、別々の金融機関で使い分けることはできません。つみたてはA証券、成長投資枠はB証券、という持ち方は不可能です。
だから金融機関選びは1回で決める必要があります。判断材料はNISA口座はどこで開く?ネット証券5社を条件をそろえて比較に整理しました。
勘違い⑥「金融機関はいつでも変えられる」→ 年単位、しかも条件つき
変更は年単位で可能です。ただしその年にすでにNISAで買付をしていると、変更できるのは翌年からになります。そしてすでに買った商品は移せません。元の金融機関に残したまま、非課税で運用が続きます。
まとめ
| よくある思い込み | 実際 |
|---|---|
| 売ればすぐ枠が戻る | 戻るのは翌年 |
| 売った金額の分だけ戻る | 買った値段(簿価)の分だけ |
| 枠が戻れば年360万円以上買える | 年間上限は超えられない |
| NISAの損失は他の利益と相殺できる | できない。繰越控除も不可 |
| つみたてと成長投資枠は別口座 | 同じ1口座の中の2つの枠 |
| 金融機関はいつでも変えられる | 年単位。その年に買付があれば翌年から |
制度の全体像は新NISAの仕組みを図解でやさしくにまとめています。あわせて読んでください。
参照した情報(2026年9月7日に確認)
・金融庁「NISAを知る/NISA特設ウェブサイト」
・金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(制度概要資料)
制度内容は変更される場合があります。実際のお手続きの際は各金融機関・公的機関の最新情報をご確認ください。本記事は情報提供を目的としたもので、特定商品の勧誘ではありません。

